専門外来 SPECIALITY
行動診療科 ETHOLOGY

経歴 | 東京大学獣医動物行動学研究室(学士課程・研究生) 東京大学獣医病理学研究室(博士課程) |
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資格 | 獣医師 獣医学博士 |
所属 | 獣医動物行動研究会 |
行動診療科外来診療日
担当医コメント
大学卒業後6年間一般診療に従事し、その傍ら東京大学で研究生として問題行動診療を学びました。また大学院博士課程で、高齢のペットの問題行動である犬の認知機能不全症候群(認知症)の病態研究に取り組みました。現在は複数の動物病院で行動診療科を担当しています。行動診療科ではペットの、噛む、ひっかく、吠える、尾を追って回る、留守番ができないなどの問題行動に獣医臨床行動学に基づいた治療を実施します。老齢動物の認知機能不全(認知症)の治療、夜鳴きの改善もご相談を承っています。ペットの行動でお困りの方はご相談ください。
問題行動について
攻撃行動
犬や猫が唸る(シャーと言う)、噛み付く、引っ掻くなどの攻撃行動は、行動診療科に寄せられるご相談の中で最も多い内容です。行動診療科ではカウンセリングを通してペットの攻撃の動機について診断し、行動修正法や薬物療法を用いた治療を行います。

分離不安
飼い主と離れたときに強い不安を感じる問題行動です。留守番時などに吠える、暴れる、物を破壊する、トイレ以外で排泄する、吐くなどの症状が見られます。
常同障害
同じ行動を異常に長く続ける、あるいは異常に頻繁に示すようになる問題行動です。よく見られる症状は、尾を追ってぐるぐると回り続ける、手や腹部をなめ続ける、布類を吸ったり食べたりする、影や光を追いかける、空気を食べるような行動をするなどです。
排泄の失敗
決められた排泄場所以外で排泄してしまう問題行動です。トイレトレーニング不足によることもありますが、トイレ環境への不満、過去のトイレでの恐怖体験、泌尿器疾患などが原因で突然始まることもあります。
認知機能不全症候群(認知症)
高齢の犬や猫に家族に対して甘えなくなる、家族を認識できなくなる、うろうろ歩き回る、部屋の隅で行き詰る、昼によく寝て夜活動する、トイレを失敗するなどの症状がみられた場合、認知機能不全症候群という問題行動が疑われます。臨床症状が人の認知症と似ており、犬の認知症・猫の認知症と言われることもあります。
このほか、過度に吠える、過度に皮膚や毛を舐める(むしる)、雷を怖がる、些細なことに怯えるなども行動治療の対象です。お気軽にご相談ください。
川畑動物病院で多い症例とその治療方針
犬が恐怖や不安を感じることによる噛みつき(恐怖性攻撃行動)
攻撃行動は様々な原因で生じますが、最も多いのは「犬が不安や恐怖を感じ自分の身を守るためにする攻撃行動(恐怖性攻撃行動)」です。
幼少期に社会化が不足していた犬や強い恐怖体験をした犬、日常的にストレスを受けて不安感が高まっている状態の犬は、些細なことに対して過敏に恐怖を感じます。その結果、怖い、拒絶したいという思いが噛み付くという行為になって現れます。
ペットを見つめる、触る、リードを着ける、室内で立ち上がる、手を動かすなどの人の些細な動作に対して、過敏な状態の犬は恐怖や不安を感じます。これに対し「躾」として強く叱るとさらに噛みつきが悪化してしまいます。
行動診療科では動物行動学に基づいてペットの心を読み解き、行動修正法を用いてペットと家族の双方が幸せに暮らせる関係づくりをしていきます。改善促進のために、不安感を緩和する薬物療法を行うこともあります。